金屋町


慶長14年(1609)の高岡開町に際し前田利長公が鋳物師7人を招き、鋳物づくりを行わせたと伝わる高岡鋳物発祥の地。
江戸時代から昭和初期に建てられた真壁づくりの町家が建ち並び、時代ごとに特徴的な構造や意匠を見ることができる。
町家の裏手では、昔ながらの方法で現在も鋳物作業が行われるなど、鋳物師町としての特徴をよく留めている。
金屋町は、重要伝統的建造物群保存地区(以下 重伝建)に、平成24年(2012)12月28日に選定された。
重伝建には武家町・商家町・宿場町や山村集落などの選定が多く、物づくりに係わる所は極めて少ない。
金屋町は全国で唯一「鋳物師の町」として選定された個性的な重伝建地区である。※2012.12.28時点

利長公により高岡へ招かれたと伝わる7人衆は、古来より朝廷に仕える由緒ある勅許御鋳物師の流れをくんでいた。
河内国丹南郡(現・大阪府堺市)に居住していたその鋳物師集団がのちに各地に転居。
その末裔が開町時に西部金屋村(現・高岡市戸出西部金屋)に住んでいた。
輸送の便や防火に適した千保川左岸に幅50間(約91m)、長さ100間(約182m)の拝領地(宅地)と5ヶ所の吹き場(鋳物作業所)を与えられたと伝わる。そこを拝領地または御印地と称した。そこから金屋町が広がっていった。

統一された意匠の町家が緩やかに蛇行した道に整然と立ち並ぶ

金屋町の町並み

さまのこが美しい、木造・真壁づくりの町家が建ち並んでいる。

さまのこ(狭間虫籠・千本格子・狭間格子)

・格子は、美しさだけでなく、そのものの本来の役割である通風と採光、そして戸締りの機能がある。
・千本格子を「さまのこ」と呼んでいる。
・さまのこの内側は、現在はガラス戸ですが、昔は、板戸や障子でした。
・日中は戸や障子戸を開けっ放しにして、風や光を入れていた。

 

 

真壁づくり

・和風建築に使われる伝統的な壁の工法の1つ。
・柱を表面に露出させ、柱と柱の間に壁を収める方法。

2階左右の袖壁や板葺きの下屋、古格子(2階窓)など、様々な特徴がみられる。

袖壁

・隣から火をもらわない。隣に火をあげない。
・「うだつ」というところもあるが、金屋町では呼ばない。

大屋根は瓦葺き

 

下屋は板葺(板庇)笄(こうがい)と呼ばれる角材で固定

 

天窓

採光のための「明り窓」が突き出していた。明り窓のある家は多く存在していた。

板塀

・庭を隠すようにある程度の高さがある。
・庭の手入れをする人や賓客を直接お茶室に通すために塀に切り抜き門があるのも特徴。

 

 

大戸

・家の表口にある大きな片開きの戸。
・夜間の潜り戸も付いている

 

 

潜り戸付き蔀戸(しとみど)

・分割された戸板をシャッターのように上下方向に開閉する形式の戸。
・全部の戸板を容易に取り除くことができ、蔀戸を設けた場所全面を開放できる。
・大戸→開閉のし易さから開きの大戸とするのが一般的だが金屋町では、揚げ戸形式であったという家が多い。
・揚げ戸形式の2枚になる大戸。 夜間の潜り戸も付いている。

金屋町の案内図

・青銅製・さまのこの有る家が表示されている。 

・平成20年(2008)設置。

 

 

銅片が敷き込められた石畳

・石畳通りの、無電柱化事業は昭和60年~61年(1985~1986)に行われた。
・石畳に整備されたのは、平成元年~4年(1989~1992)に路面整備事業として行われた。
・平成27年(2015)から上下水道管やガス管の老朽化に伴う工事が行われ、北陸新幹線開業直前に終了した。
・石畳の中に埋め込まれた、小さな星形は、市が金屋町まちづくり協議会の要望を受けて設置した。高岡開町の祖・前田利長が鋳物師7人を招いて町を開業させた鋳物発祥の歴史にちなんでおり、北斗七星の形に配置。
・白色の石を埋め込んでつくった停止線もある。
・小さなハート形の銅や石もはめ込まれている。銅2個と石で作った5個の計7個を紛れ込ませた。


銅板張り建築

・建物正面の外壁を、緑青の発生した銅版で覆った銅板張り建築の建造物が点在している。
・建築年代は、昭和戦後期から昭和30年代までに建築されている。
・「看板建築」の一種である。

ポケットパーク

・金屋町通りの中ほどにあるポケットパーク。  
・町の人はもちろん、とおりゆく人々の憩いの場として親しまれている。
・地下は防火水槽となっており、常時40tの貯水槽がある。

看板がわりの鋳物の鍋

・玄関の南側2間の正面を鉄柵で囲い込んで、鉄鍋が2つ並べられている。

・ショーウインドウの役目をはたしていたとみられる

アクセス

JR新高岡駅から

・新高岡駅1番のりばから加越能バス(横田本町経由勝木原行き、横田本町経由国吉行き、横田本町経由石動駅前行き、 三井アウトレットパーク北陸小矢部行き、仏生寺経由氷見市民病院行き)「金屋」下車 すぐ

※新高岡駅2番のりばからは、高岡駅でお乗り換えが必要です

・車で10分

高岡駅から

・徒歩20分

・高岡駅古城公園口(北口)3番のりばから加越能バス
(横田本町経由勝木原行き、横田本町経由国吉行き、横田本町経由南波岡行き、横田本町経由福岡町行き、横田本町経由石動駅前行き、三井アウトレットパーク北陸小矢部行き、仏生寺経由市民病院行き、市内3系統)「金屋」下車 すぐ

・万葉線「片原町」下車 徒歩10分

・車で5分

自動車の場合

・能越自動車道 高岡ICから車で10分

・北陸自動車道 高岡砺波スマートICから車で25分

※駐車場金屋緑地公園駐車場(無料) すぐ