平成20年;ねずみ年 |
97号 2008.1月発行 |
――――――高岡の宝を世界の宝に――――――
世界文化遺産の登録候補として、富山県と高岡市が平成18年11月に共同提案し、
継続審議となった「近世高岡の文化遺産群」について、
平成19年12月21日文化庁へ提案書を再提出しました。
資産名称 | 近世高岡の文化遺産群 |
資産の構成 |
@城下町の遺産群:「高岡城跡」等7件 A宗教関係の遺産群:「勝興寺」「瑞龍寺」「前田利長墓所」等9件 B商工業都市の遺産群:「山町筋」「金屋町」等6件 |
提案者 | 富山県・高岡市 |
資産の概要 (コンセプト) |
高岡は城下町を基盤として、宗教的要素を取り入れながら商工業都市へと転換する近世都市の形成と発展過程を物語る記念工作物、建築物群や遺跡が良好に保存されている。 さらにこうした文化遺産群を護り伝える思想は、藩主から町民、そして市民へと確実に受け継がれており、我が国における都市の成立と発展の過程を世界に立証する典型的な文化遺産群である |
1.高岡城跡 | 慶長14年(1609)に前田利長が築城。高山右近の設計。一国一城令によって廃城となるが、五つの曲輪や広大な水濠、土塁は当初のまま。 |
2.武田家住宅 | 武田信玄の弟の子孫と伝えられる旧家で、藩政初期から村役人を務めた。18世紀後半に建築された農家建築である。 |
3.気多神社本殿 | 16世紀中ごろに建築された三間社流造りの茅葺の社殿。創建は天平年間とされる古い神社。 |
4.有礒正八幡宮 | 高岡の町立ての際、有礒宮と横田正八幡宮の二社が合祀された神社。本殿は明治16年、名工松井角平の手によるものである。 |
5.木舟城跡 | 1184年に在地領主の石黒太郎光弘が築城したとされ、戦国時代には上杉、織田、佐々らが城を押さえた。前田利家末弟の前田秀継の居城となったが、大地震により城主落命、廃城となる。 |
6.高岡関野神社 | 利長の高岡開町にあたって遷座し、城下の鎮守となった神社。社殿の一部は江戸時代の建造物が保存継承されている。 |
7.守山城跡 | 二上山に築かれた城。氷見市内や射水平野一帯を見渡すことができる。この地の拠点城郭あった。1585年に前田利長が入城し、1597年まで在城。 |
8.勝興寺 | 近世の大規模な真宗伽藍。12棟の重要文化財建造物。本願寺八世・蓮如により越中に設けられた古刹。近世には筆頭寺院として勢力を誇った。 |
9.瑞龍寺 | 三代藩主前田利常が兄利長の菩提を弔うため建立。加賀藩の名工・山上膳右衛門嘉廣の手によるもので、近世の建築技術が結集された豪壮優美な建造物群である。国宝3棟。重要文化財7棟。 |
10.前田利長墓所 | 利常が兄利長の遺徳を偲んで造営。水掘で囲んだ墓城には、戸室石で覆った墳墓がある。大名の個人墓所としては破格の規模と内容を持つ。 |
11.瑞龍寺の石廟 | 切妻型の石廟の内部には宝篋院塔が納められている。前田利長・前田利家、織田信長・信長夫人・織田信忠を祀る5棟が並んでいる。 |
12.瑞龍寺境内地 | 創建当時は12万uに及ぶ広大なものとされる。 |
13.八丁道 | 瑞龍寺と前田利長墓所を結ぶため近世初期に建設された参道。 |
14.勝興寺境内地 | 奈良時代に越中の国庁が、戦国時代には古国府城が置かれていた。 |
15.五福町神明社本殿 | もとは利長の御廟守として建てられた寺院の本殿。 |
16.大手町神明社拝殿 | もとは利長の御廟守として建てられた寺院の鎮守堂拝殿。 |
17.山町筋 菅野家住宅 井波屋仏壇店 筏井家住宅 旧室崎家住宅 |
明治33年の高岡大火後に防火のために建てられた土蔵造りの町家が旧北陸道に沿って、軒を並べている。伝統的な土蔵造りに洋風建築の工法を組み合わせた建物群。 |
18.佐野家住宅 | 明治の高岡開花直後の再建された、大型の町屋建築。 |
19.清都酒造場主屋 | 旧氷見街道沿いに建つ商家。明治20年頃の建設とされ、高岡大火以前に建てられた町屋建築の構造形式を知ることができる和風建築である。 |
20.金屋町 | 高岡開町にあたり、利長により城下の産業発展のため鋳物師が呼び寄せられて住いした職人町。鋳物生産の職人の工場兼住宅である千本格子の和風建築が軒を並べる。 |
21.旧南部鋳造所 (キュポラ・煙突) |
高岡銅器の生産に携わった旧南部鋳造所のキュポラ(鉄製)及び煙突(煉瓦と石造)は大正13年に建造されたもの。近代の鋳物技術を伝えている。 |
22.銅造阿弥陀如来坐像 | 高岡大仏として知られるこの坐像は、昭和8年に開眼供養が行われたもので鋳造から着色までの全工程を高岡銅器職人がその技術の粋を凝らして鋳造した。それ以前の木造大仏は明治33年の大火で焼失していた。職人の献身的な働きと、市民の浄財により現在の高岡大仏が完成した。 |