万葉集の編者大伴家持像と歌碑(JR高岡駅前)

82号 2006.10月発行
物部乃八十●嬬等之●乱寺井之於乃堅香子之花
大伴家持 巻19−4143<社浦荻水>
もののふのやそおとめらがくみまがふてらいのうえのかたかごのはな

―――――――大伴家持と越中万葉―――――――
万葉集の代表的歌人であり編者ともされる大伴家持は、746年奈良の都から越中の国守として、国庁があった高岡伏木にやってきました。
大海原や白く輝く立山連峰など、越中の美しい自然に魅了された家持は滞在した5年の間に多くの歌を詠み、万葉集におさめました。万葉集のなかには、家持の部下の官人たちも多くの歌もあります。これらの情緒あふれる歌の数々は「越中万葉」として、私たちに多くのことを語りかけています。

雨晴海岸と立山連峰
万葉集朗唱の会(今年は10月6日7日8日)
毎年10月のはじめに行われる「高岡万葉まつり」のイベントのひとつです。
万葉集全20巻4516首を2000人を超える人たちでリレー方式で、3昼夜かけて朗唱します。
古城公園のお濠に設けられた水上舞台の上で、参加者が朗唱しますが、事前に申し込んでおけば誰でも参加できます。全国各地からの参加があり賑わいます。一人で朗唱もいいですし、友人と、家族でと、グループ参加も楽しいです。
立山に降りおける雪を常夏に
        見れども飽かず神からならし
大伴家持 巻17−4001
高岡万葉歴史館
「万葉集」を中心テーマに据えた研究施設。「万葉集」や「越中万葉の世界」を楽しみながら学べます。



大伴家持の歌にちなんだ風景と歌碑
玉くしげ二上山に鳴く鳥の 
        声の恋しき時は来にけり
巻17−3987<社浦荻水>
二上山 万葉小学校
石瀬野に秋萩しのぎ馬並めて 
        初鳥狩だにせずや別れむ
巻19−4249<佐藤孝志>
高岡市石瀬より二上山 野村小学校
朝床に聞けば遙けし射水川 
        朝漕ぎしつつ唱ふ船人
巻19−4150<鶴木大寿>
二上山麓の小矢部川 伏木測候所国守住居跡
馬並めていざうち行かな渋谷の 
        きよき磯みによするなみ見に
巻17−3954<大島文雄>
雨晴海岸(渋谷の浜) 気多神社内大伴神社前
雄神河くれなゐにほふ少女等し 
        葦附とると瀬に立たすらし
巻17−4021<佐佐木信綱>
庄川(昔の雄神川) あしつき公園(中田)
磯上之都萬麻乎見者根乎延而年深有之神佐備尓家里
巻19−4159<不詳>古くからあるそうです
 
いそのうえのつままをみればねをはへて
         としふかからしかみさびにけり
つまま公園(岩崎)
少納言となって都へ戻ることになった家持が餞別の宴で詠んだ歌  しなざかる越に五年住み住みて
         立ち別れまく惜しき夕かも
 巻19−4250

大伴家持ゆかりの地を廻ってみて驚きました
1260年前に家持が見たであろう景色が、今でも美しい姿で私を迎えてくれたのです
忙しさに振り回されている昨今、この景色を見ると誰でも心が洗われる思いがするはずです
家持の歌の舞台をたどってみませんか