47号 伝統工芸ふれあい広場より
発行2003.11月

 伝統工芸ふれあい広場
平成15年11月6日〜9日 メイン会場:高岡テクノドーム
伝統的工芸品産業振興協会が、
毎年11月の「伝統的工芸品月間」に開催される国民会議全国大会にあわせて実施

 

 全国各地から多数の伝統工芸の作り手が集まり、
手技を披露する製作実演を通じて、使い手である来場者とのコミュニケーションをはかり、
伝統的工芸品に対する国民の理解を深めている
今年は富山県高岡市をメイン会場にして、八尾、平、庄川、井波の各会場で開かれた
全国の工芸品が一度に見られるいい機会である

 

伝統的工芸品の要件

◎主として日常生活の用に供されるものであること
◎その製造過程の主要部分が手工業的であること
◎伝統的な技術又は技法により製造されるものであること
◎伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること
◎一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い又はその製造に従事しているものであること
財団法人 伝統的工芸品産業振興協会

全国の伝統的工芸品の事業者が「わが国の伝統的な生活文化を継承し、後世に伝える」産業として、互いに手を携えて、個々の事業者では成しえない全国規模での産業振興事業を行うと同時に、産業振興に対する国民の理解と支援を広げることを目的としている
参考図書:「現代に生きる伝統工芸」(財)伝統的工芸品産業振興協会編集

展示品(太字は実演)

織物 結城紬、西陣織、京くみひも、本場大島紬、置賜紬、桐生織、村山大島紬、本塩沢・塩沢紬、信州紬、博多織、読谷山花織・ミンサー、琉球絣、与那国織、伊賀くみひも、京繍
染色品 東京手描友禅、加賀友禅、加賀繍、京鹿の子絞、有松・鳴海絞、名古屋友禅・名古屋黒紋付染、京黒紋付染、京友禅・京小紋
陶磁器 九谷焼、越前焼、伊万里・有田焼、小代焼、常滑焼、赤津焼、瀬戸染付焼、美濃焼、京焼・清水焼、備前焼、小石原焼、波佐見焼、三川内焼
漆器 村上木彫堆朱、飛騨春慶、高岡漆器、輪島塗、津軽塗、鳴子漆器、川連漆器、会津塗、鎌倉彫、木曾漆器、山中漆器、越前漆器、京漆器
木竹品 秋田の樺細工、箱根寄木細工、加茂桐箪笥、高山茶筌、岩谷堂箪笥、春日部桐箪笥、井波彫刻、京指物、大阪欄間、大阪唐木指物、大阪泉州桐箪笥、別府竹細工
金工品 金沢箔、高岡銅器、肥後象嵌、東京銀器、燕鎚起銅器、堺打刃物、大阪浪華錫器
和紙・文具 奈良筆、播州そろばん、赤間硯、越前和紙、阿波和紙、雄勝硯、豊橋筆、熊野筆
諸工芸品 宮城伝統こけし、江戸木目込人形、甲州手彫印章、播州毛鉤、甲州水晶貴石細工、岡崎石工品、京石工芸品、京人形、博多人形、京扇子・京うちわ、京表具、庄川挽物木地、伊勢形紙、京仏壇・京仏具、大阪仏壇、金沢仏壇、七尾仏壇

ちなみに、昨年の開催県は沖縄でした。来年は福島県だそうです。


伝統工芸品の魅力

 伝統工芸ふれあい広場が開かれてる高岡テクノドームへ行って来ました。会場の中央には伝統の技の粋を集めた高岡御車山が展示されていて、手作業が生み出す独特の気品と温もりのある世界へ導いてくれました。作品の種類別に展示されているので、一口に焼き物と言っても産地によって特徴があり、その違いを一度に見ることができておもしろかったです。
 実演コーナーでは、若い女性が細い絵筆を巧みに動かして九谷焼の絵付けをしていましたし、くもひものコーナーでは、慣れた手つきで何種類もの糸を一本一本編みこんで模様を織り上げていました。集中力、高度な技術に見入ってしまいました。工芸品は美術品と違い日常生活に使うものですから、作り手は使い手のことを思いやり、使いやすいもの、丈夫なもの、きれいで愛されるものを提供しようという気持ちが感じられました。
 工芸品が心を癒し、使い込んでいくほどに味わいが増すわけがここにあるのだと思いました。便利でスピーディーなこの世の中、手作業の工芸品は消えていくのかと心配していましたが、こんな時代だからこそ必要なものなのかも知れません。人の手が心を込めて、時間をかけて作り出した逸品は、殺伐とした生活の中に潤いを与えてくれます。