44号 旅先で見た高岡の作品
発行2003.8月


高岡で造られた銅像、仏像、モニュメント、梵鐘などが日本全国にあります。
少し紹介したいと思います。


私がこの目でみた作品
日本武尊像 石川県金沢市兼六園(1880年)

兼六園へは子供のころよく家族で遊びに行きました。高岡で造られたことは知っていましたが、何故造ったのかは今調べて知りました。西南の役の石川県戦没者の霊を慰め、明治記念碑として建てられたもので、高さ5.5mあるそうです。見事な自然石積の台石は、金沢城内の玉泉院丸の露路石を6.5mの高さに積み上げてあるそうです。野外のブロンズ像としては日本最古と言われています。高岡の鋳物師達は当時の技術の翠を結集し、苦労して仕上げたそうです。
飛鳥寺の梵鐘 奈良県高市郡明日香村

今年の春家族で明日香村を訪れたときに、老子製作所の名が刻まれた梵鐘に出会いました。飛鳥寺は596年に創建された日本最古の本格寺院で、本尊飛鳥大仏は渡来人3世の鞍作鳥という仏師が鋳造した日本最古の鋳造仏です。いまは当時の壮大な伽藍はありませんが、1400年の時の重みを今に伝えています。梵鐘の音に託した人々の願いは今も昔も変わりません。
ライオン 東京都銀座三越百貨店

三越百貨店の正面玄関前に堂々と座っています。待ち合わせの場所になっているらしく大勢の人にとりかこまれていました。どうやって写真を撮ろうかとうろうろしてシャッターチャンスをうかがっていると、不思議なことにさっと人垣がなくなりました。シャッターを押し終えると同じに再び人垣が出来ました。それはほんの一瞬でした。故郷の高岡からはるばる写真を撮りにき来た田舎もんに、元気でやっている姿を見せてくれたのかと思います。


伝統工芸高岡銅器大型作品集高岡市商工労働部中小企業課)より
  

圓鍔勝三作
広島県広島市
広島駅新幹線口駅前
鳥の詩

海野建夫作
三重県津市
津市役所
原爆殉難教え子と教師の像

富永直樹作
長崎県長崎市
平和公園
札幌五輪聖火台

柳宗利作
北海道札幌市
真駒内競技場

芸術の森
高岡市民の憩いの場、高岡古城公園内に19の作品があり、芸術の森と称しています。市政90周年を記念して、市の地場産業が誇りとする鋳造技術と日本の代表的彫刻家の成果とが見事に融合、昇華しています。一度ゆっくり鑑賞してみてはいかがですか。




銭湯

子供のころ我が家にお風呂がなかったので銭湯へ通いました。母と祖母と一緒に、石鹸等を入れた小ぶりのバケツと、バスタオルや着替えの入った風呂敷包みをもって斜め向いにある銭湯の裏口から入りました。この辺りの人たちは皆裏口を利用していました。おがくず置き場の隣りを抜け、台所や座敷の横を通り家人に挨拶をし、男風呂の脱衣場では顔見知りのおじいちゃんに挨拶をして、女風呂の脱衣場へ急ぎます。母と祖母の後ろからついていく私は男風呂にしかない大きな火鉢と、その周りでお茶を飲みくつろいでいるお年寄りをうらやましく思ったものです。
友達がいると楽しくていっしょに遊んだものです。大人から注意されることで迷惑行為、危険な行為などを学びました。また、一人で来ている人には背中を洗ってあげること、先に帰るものは桶一杯のお湯を「どうぞ使ってください」と知り合いに置いてくることなど、しきたりがありました。私はうまくできるようになるだろうかと不安に思っていましたが、思春期を迎える前に家に風呂ができたので、銭湯へは行かなくなりました。そのころ弟がこんなことを言っていました。「友達から、「おまえの姉ちゃんいつまで男風呂通っていくのか?」と聞かれたぞ」と。