36号 鳳凰鳴けりかの高岡に
発行2002.12月


隠居していた富山城を火災で失った前田利長(加賀二代藩主)は、
かつて守山城主だった頃、眼下に見ていた関野の地に城を築くことにした。
「鳳凰鳴矣干彼高岡」
詩経の一節より、この地を高岡と名づけたと伝えられている。
(参照:トップページから「紹介」のページへ)

昭和の始めに「昭和通り」ができ、高岡鋳物発祥の地に架かるこの橋は
「鳳鳴橋」と名づけられた。
昭和59年、富永直樹作の鳳凰像が橋に設置された。
橋の川上側と川下側に設置し、
先人への感謝の心と限りない発展を祈る合掌の形を
デザイン化したものだそうだ。

鳳が雄で、凰が雌

川上にある像が鳳
川下にある像が凰

違いがわかりますか?
足元を良く見てください
後ろに突き出しているつの状のものの長さが違います
川上にある像(鳳) 川下にある像(凰)

鳳凰 想像上の瑞鳥(めでたい鳥)。「礼記」によれば麟(きりん)、亀(カメ)、竜(たつ)、とともに四霊とよばれ、聖人が天子の位にあるとき現れるという。(小学館;世界原色百科事典)
子供がいただいてきた賞状の上に描いてある鳳凰

「聖天子の治政の兆しとして現れるという鳳凰よ
さあ、この高岡で鳴いておくれ」
という
高岡の繁栄を願う利長の気持ちが伝わってくる

余談@
キトラ古墳の壁画の「朱雀」と「鳳凰」が似ている
キトラ古墳(7世紀〜8世紀)の壁画に描かれてあった四神のうち朱雀の絵が新聞で紹介されていたが、鳳凰に似ていると思った。手元の百科事典(小学館の世界原色百科事典)によると、「四神とは四方の守護神で、東の青竜、西の白虎、南の朱雀(鳳凰)、北の玄武(亀蛇)をいう。星宿を動物にみたてる中国古代の思想に由来」とあるから、両者は同じものと考えてもよさそうだ。鳳凰が古いのかも知れない。
(右の絵は「赤羅紗地朱雀模様山車飾裂」という江戸時代後期の刺繍です。朱雀を目立たせるために背景の模様を消しました。)
余談A
手塚治虫の漫画「火の鳥」と「鳳凰」が似ている
手塚治虫の「火の鳥」の絵が鳳凰に似てると思った。「火の鳥」というから炎の中から蘇るという「不死鳥」を思い浮かべ、これを調べてみた。手元の百科事典(同上)では、「フェニックス(不死鳥)は伝説の霊鳥で、古代エジプトの壁画に原型がみられる。東方に生きながらえ500年(1000年、1500年説もある)の生命のおわり近くアラビアに現れ、みずから香料を積み重ねて焼死し、その灰の中から再生して、フェニキアをへて東方に飛び去ると伝えられている」と書いてあった。これを見るかぎりでは「不死鳥」と「鳳凰」と同じものとは考えにくい。手塚治虫作品に詳しい友人によると、氏が話を創る上で考え出したイメージが「不死鳥」と「鳳凰」をミックスしたものだったらしい。

なでしこの部屋

鰤おこし
窓ガラスを揺さぶるほどの雷鳴がとどろきわたると、あられ・ひょうが打ち付けられるパチパチという音が耳にささります。テレビの音がかき消され、電灯が一瞬消えてまたつきました。夕餉のだんらんのひととき、だれかが「鰤おこしや。いよいよ冬到来やね」とぼそっというと、長くて暗い季節が始まったことを受けとめるように、皆だまって首を縦に振ります。全国的には雷は夏のもので冬にはめずらしいものらしいのですが、ここ北陸では冬の雷のエネルギーは夏のゴロゴロよりすごいものがあります。いきなり「ドッスーン」ですから、それこそ空から大入道が落ちてきて、尻餅をついたかのような感じです。聞くところによると、南からの対馬暖流が流れている日本海へ、北からの冷たい季節風が引き込むと積乱雲が発生して雷がおこるそうです。
けれど、この荒れた季節にこそあのおいしい鰤がとれるのです。なるほど王者の出現ともなると鳴り物入りです。例年11月中旬からこの現象はおこるのですが、今年は早く来ました。
「庭師さんに頼んで、早く雪づりしてもらわんなんね。」「そうやね。」とおかあさんとおばあちゃんが話しています。