118号2009.10月発行

金屋楽市:金屋上町


―――――ものづくりのまち*高岡―――――
高岡開町時、加賀藩二代藩主前利長によって奨励された
鋳物、漆器の技術が受け継がれ、
銅器鋳物、漆器製品などの伝統工芸品から工業製品まで
「ものづくり」の精神が息衝いています

金屋町楽市inさまのこ:10月24・25日
金屋町全域を使って行う生活空間内展示:ストリートマーケット、イベントを組み合わせた工芸x生活x産業が同居するゾーンミュージアムです。利長が鋳物師を招いて仕事をさせた金屋町はまさに「ものづくり発祥の地」といえます。
その金屋町の通りや民家の中に作品を展示・販売する催しです。江戸時代初期以来の町並みと銅器工芸の職を残す町の中に展示された作品は、生活の中に溶け込み、生き生きとしていました。
展示や空間つくりに活躍したアルミ什器は、建築家隈研吾氏考案のものです。

主催:金屋町楽市実行委員会

:富山大学芸術文化学部・金屋町自治会・富山ガラス工房・金沢卯辰山工芸工房・隈研吾建築都市設計事務所・高岡市・高岡市観光協会
さまのこ席
歴史ある釜師の家で鋳物のお道具を使って伝統的なお茶席
‘かや’:「つつむ」という変換不能の字と「野」
蚊帳の中での遊び心あるお茶席
KUMA Cafe
建築家隈研吾氏がトータルデザインを手がけたカフェ
楽庵―白光のもとで―
隈研吾氏によるアルミ什器と町並みと一体化した野点


ものづくり」の原点
「たたら吹き」再現 7月26日:金屋緑地公園内

「近世高岡銅器祭り」の一環で、日本古来の「たたら」による溶解が再現されました。
「たたら」とは長方形の板の両端を交互に踏んでシーソーのように動かし風を溶解炉に送る装置です。大量の風を送り込まれた溶解炉でコークスが燃焼して温度が上がり、金属が溶けるのです。大昔から使用されてきましたが、機械化が進むと「たたら」は使われなくなりました。

今回はそれを再現しようという試みです。
大の男たちが力を合せて踏み込んで風を送りますが、なかなか炎の温度が上がらなかったそうです。何度も試し吹きを行い、本番を迎えました。
当日は板戸(たたらを踏む職人)役の人たちも慣れてきて息もぴったりと合って真赤な炎が炉の先から吹き出しました。緊張が走る中、1200度に溶けた青銅が鋳型に流し込まれました。
前田利長が愛用した鯰尾兜が見事に仕上がりました。

たたら踏みの仕事は大変な仕事だったことがわかりました。また職人さんの真剣な姿を目の当たりにし、ものづくりの心が受け継がれていくことを実感しました。

「ものづくりのまち」のとりくみ
●高岡デザイン・工芸センター
高岡の伝統工芸を継承しながら新しいクラフト製品の開発や新技術・新素材の研究・開発を行い、幅広い視点でデザイン・工芸の振興を図っています。
「新クラフト産業・デザインの育成」「伝統工芸の保存と継承」「デザイン・工芸の啓発、普及」を活動の三本の柱として活動しています。
●工芸都市高岡クラフトコンペティション
伝統工芸の銅器・漆器やアルミ産業をはじめとするものづくりのまち高岡は、新しい産業工芸の動きを誘発する情報発信基地となるべく「新しいクラフトをもとめて」をテーマに全国から作品を募集しています。
全国のクラフトマンやクリエーター達の交流の場となることを目指して1986年より開催しています
●ものづくり・デザイン科
高岡市は市内のすべての小中学校でものづくり・デザイン科授業が行われています。
銅器や漆器の地元の職人たちが教壇に立ち、子供たちを指導します。
子供たちはそれぞれの思いをこめて伝統工芸に取り組んでいます。
●元気なモノ作り中小企業
経済産業省がこのほど発表した「元気なモノ作り中小企業三百社2008年版」では、富山県内から9社が選ばれました。そのうち6社は高岡の企業でした。