No.009
金屋町楽市inさまのこ:2010

9月19日、20日、金屋町一帯がミュージアムに変身しました。さまのこ(千本格子)の家が並ぶ石畳み通りはもちろん、通りに面した町屋の座敷、蔵などにも工芸品や美術品が飾られました。展示だけでなく販売もされました。これらの作品は全国の有名作家さんから若手の作家さんも出品されていて、味のあるものや、斬新なものが出揃い、楽しませてもらいました。
美術館の棚に飾られているのとは違い、工芸品や美術品が生活の場で展示されているのはより魅力的です。歴史がかもし出す風格のある家々の、蔵から出してこられた調度品の棚や座卓などの上に飾られた作品は、命を吹き込まれたように感じました。石畳通りでは、若手の作家さんが作品を並べていて、いろいろ話を聞くのも楽しみの一つでした。
お茶席も、伝統にのっとったもの、新しい形で遊び心あるもの、カフェの気分で気楽に味わえるのもと、茶道の世界が広まりました。

金屋町は399年前、高岡城を築いた加賀藩二代藩主前田利長が鋳物師を呼び寄せ仕事をさせたことから始まります。以来、ものづくりの町として発展し、今も全国有数の鋳物産業の地です。昭和40年代まで金屋の町は住宅の裏が鋳物工場になっていて活気のある町でした。けれど、公害問題や機械化、交通の利便性などの諸事情でほとんどの工場が公害へ移転しました。「金屋町楽市@nさまのこ」とは、町の歴史を後世に伝える目的ではじめたいべんと「さまのこフェスタ」と、富山大学さんから提案された「金屋町楽市」のイベントが融合して開催されるようになったものです。

弥栄節保存会は、両日2回づつ、金屋町に伝わる鋳物作業唄である弥栄節踊りを披露しました。弥栄節は、つらい鋳物の作業のなかから生まれた唄です。一時消えそうになりましたが、昭和のはじめに、唄いやすく編曲し、親しみやすいように踊りを振りつけました。6月20日の御印祭の前夜祭で披露しています。私は、昨年まで踊りを担当していましたが、今年初めて三味線をひきました。とても緊張しましたが、あのどきどき感がくせになりそうです。
日本の良き文化を堪能した2日間でした。

いつもとは違う生活空間と、過去から今までの時間の広がりを体験できる催しものだと思います。大物作家さんの研ぎ澄まされた感性を吸収し、若手作家さんの斬新さに触れることができる場として全国から人が集まるようになってほしいと思います。そして、地元の産業にも貢献できれば良いと願っています。
金屋町住人の一人として協力を惜しみません。一度、来てみませんか。



2010.9.18


参考:ミニコミ紙「たたら」のページで、関連記事が載っている号を紹介

たたら28号65号 金屋町楽市の前身である「さまのこフェスタ」を紹介
たたら118号 昨年(2009年)の楽市の様子
2008年に第一回が開催されて、2009年に「さまのこフェスタ」と合併しました。