No.012 |
窓の下には千保川
今年もあと少しとなりました。
毎年、少しずつ1年が短くなっているような気がします。
来年の誕生日で55歳になります。少し前までは、人生の折り返し地点はまだだと思っていましたが、さすがにもう折り返したと認めないわけにはいきません。
窓の下では千保川がいつものように流れています。 「ゆく川の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず」
と、方丈記の一節が聞こえてきたような気がしました。
この川は、私がお嫁に来たときも、主人の102歳のおばあちゃんがお嫁に来たときも流れていました。さらに、そのおばあちゃんのだんなさんのおじいちゃんが、この地で分家したときも流れていました。
この地で分家したおじいちゃんの商売を支えたのは千保川の舟運でした。 主人のお母さんが子供のころは、千保川で泳いだり、土手で花摘みをして遊んだそうです。
私や主人が小中学生のころは、護岸工事がされて、コンクリートの土手によって切り離されました。しかも高度成長期にあって、千保川に工場排水が流れ、死んだ川になっていました。 近年、住民による「きれいにする運動」が行われ水はきれいになりました。
小学生がサケの稚魚の放流を行い、溯上してくるサケの姿を見ることができるようになりました。
私の孫が川面で遊んでいる鴨を見て「かもめのすいへいさん」と歌いながら、手をはばたかせて踊っています。
上の写真は大正頃のもので右の写真は現在の同じ場所です。 鴨長明著「方丈記」のこの一節は、この世に同じものなど二つとなく、それでいて、流れ自体が絶えないという仏教の世界観が感じられると言われます。川の流れを見つめていると心が癒されてくるのは、そのためでしょうか。 また聞こえてきました。
「よどみに浮かぶうたかたは かつ消え かつ結びて 久しくとどまりたるためしなし」
今、良くても、いつか悪くなるかもしれない。反対に今悪くても、いつか必ず良くなるのです。
新しい年も、私がやらなければならないことを、きちんとこなし、充実した日々を過ごせるよう努力していきたいと思います。
2010.12月 |
参考:ミニコミ紙「たたら」のページで、関連記事が載っている号を紹介
たたら69号 | 金屋町から下流へ、小矢部川との合流地点まで |
たたら101号 | 千保川の始まり |
たたら119号 | 千保川への思い |