6号 発行 2000.6月

金屋町へ遊びにこられ〜

慶長14年(1609年)前田利長は、
高岡城の城下町を開くために戸出西部金屋から鋳物師を呼び寄せ、
千保川の向こう側の地に、鋳物産業を興しました。
これが金屋町の始まりです。
その後400年近く幾度も困難を乗り越え発展し、
昭和50年に国より「伝統的工芸品」として産地指定をうけています。
近年、機械化や公害の問題などで多くの工場が、この千保川のほとりを離れ郊外に移転しました。
騒音と熱とチリにまみれていた昔と違い、今は静かなたたずまいを見せています。
人それぞれのたどる道は違いますが、
「昔を活かして、今を生きる」そんな金屋に触れると、何か感じるものがあると思います。
さあさあ遊んでいかれ、金屋町で……

※地図―金屋町のパンフレットより

なでしこの部屋

夏の夕暮れ

もうすぐ暑い夏がきます。
わが町金屋は夏が似合うと思います。
いえ夏が似合ったと過去形にするべきかもしれません。
その昔ここには小さな工場がたくさんありました。粉塵、騒音、刺激臭の最悪の環境のなかで職人さんたちが、仕事をしていました。さらに夏は、焼けた太陽が、ただでさえ熱い仕事場をもっと熱くしました。
やがて西の空が赤くなるころ、音は止み、空気は軽くなり、涼しくなると、銭湯から出てきた職人さんたちが、肌の色をとりもどした背中に、手ぬぐいをひっかけ、大きな声で話しをしながら行き来します。
その顔には、今日の仕事をなし終えた充実感と、満足感と、明日への希望のようなものもうかがえました。
子供心に「いいなあ」と思ったものです。
生きていることを、実感できるひとときでした。