No.003 |
|
お雛様
あかりをつけましょぼんぼりに〜
私は小さいころお雛様が大好きでした。父と母が二人がかりで大きな箱を蔵から出して飾ってくれました。木で組まれた段の上に赤い「もうせん」をかけ、一番上の段には組み立てた御殿を飾ります。御殿の中にお雛様と、お内裏様、三人官女がおさまりました。その下の段に五人囃子、右大臣、左大臣、下男と続きます。
夜になりみんなが寝静まったころ、この御殿で宴が始まり、音楽に合わせて唄ったり踊ったりして、楽しんでいるものと思っていました。 下の段に並べられたお嫁入り道具も魅力的でした。いつか私もお嫁にいくとき持ってこうと考えていたものです。箪笥、長持、火鉢、お針箱、鏡、そして私は、箪笥、布団箪笥、ストーブ、ミシン、三面鏡を持ってお嫁にきました。 娘が生まれたとき、実家の親にお雛様を買ってもらいました。お店で選んだのは、私のお雛様に良く似たお顔のお人形でした。以来29回飾っています。
道具を飾るのはやめて、人形だけ飾ろうかしらと、手抜きを考えてはみるもの、飾り始めると子供のころの思いがよみがえってくるので、毎年七段飾っています。 私はお嫁に来るとき自分の雛人形は持ってこなかったのですが、いつも一緒に飾っていた「高砂」の人形を持ってきました。そして娘のお雛様の段の隅に毎年飾っています。「共に白髪の生えるまで」の歌の文句通りの白髪のおじいさんとおばあさんの人形は幸せの象徴のような気がして好きです。そういえば私たち夫婦も白髪が目立ってきました。結婚30年を過ぎましたが、いつもけんかばかりで、あの翁と姥のようににこやかに笑って寄り添える日はまだです。
|
2010.3月 |
参考:ミニコミ紙「たたら」のページで、関連記事が載っている号を紹介
たたら39号 | 山町筋のお雛様のイベント紹介 |
たたら80号 | 山町筋について紹介 |