No.002

雪国の暮らし

雪はちらちら降るものではありません。ましてすぐ融けるはかないものだなんてとんでもないことです。
次から次へと落ちてきてどんどん積っていくものです。雪の日は昼間でも薄暗く、どこへも出かけず家に閉じこもります。晴れ間には町内みんなで雪かきをします。
これは私が子供のころの冬の様子です。雪をかいてもかいてもまた積るの繰り返し、春が来るまでじっと我慢です。バスも当てにならないので、駅まで2kmほど歩きます。雪の積もった歩道は歩けず、車道の端を歩きます。長めの厚いコートにマフラー、毛糸の帽子、足元はもちろん長靴、この格好でもくもく歩くとほかほか暖かくなってきます。冷たい雪の中、バス亭でじっと立っているより歩くほうがいいのです。一歩一歩雪を踏みしめて駅を目指していると、雪国の人は辛抱強いと言われるのもわかります。
38豪雪というのは、私はあと数カ月で小学校へ入学するころでした。大晦日の数日まえから雪が降り続いたそうです。向かいあった町並の道路は雪で埋まり、二階が一階の状態で、雪を玄関まで掘り下げて階段を作り、地下へもぐっていくようでした。
簡単に屋根に登れたことも思い出します。

このごろ雪の降る日が少なくなりました。車を通すために、主要道路は夜中から除雪が行われ、町中のほとんどの小路には井戸水が流れて雪を融かすようになっています。
普段と変わらない生活ができるようになりましたが、年に一度か二度、まとまった量が降るとやはり大変です。鉄道は止まり、高速道路はスリップ事故などで閉鎖され、飛行機が飛ばなくなると陸の孤島です。便利な生活を送っていた私たちはとても困ります。
100歳を過ぎた我が家のおばあちゃんが若いころは、どこの家も冬支度をしていて閉ざされた季節でも平穏に暮らす知恵がありました。30年前私がお嫁に来たころはまだおばあちゃんの冬じたくは健在でしたが、いつのまにか冬になってもいつもと変わらない生活をするようになっています。「ひどいね〜」と言いながら。

一番上の写真は5.6年前の大雪の我が家の庭です。左の写真は3月の同じ場所です。春になって雪が解けはじめると、心もほんわかとしてきます













2010.2月



参考:ミニコミ紙「たたら」のページで、関連記事が載っている号を紹介

たたら14号73号 雪にまつわる話