12号 発行 2000.12月

なでしこの暦(師走)

降る雨に雪の匂いを感じたら、今年もあと少しで終わりです。
冬を快適に過ごすために、ひとがんばりの一ヶ月です。



大根を漬ける
40本

大根の漬け替え
10
冬衣料の準備
11 12 13 14 15 16
かぶら寿司のかぶを切り、塩漬け
17
たくあん漬け
窓掃除
18
かぶら寿司の麹を購入
19
麹をご飯と混ぜて醗酵
20
かぶら寿司を漬けこむ
21 22 23
台所掃除
24
大掃除
天神様を飾る
25 26 27 28 29
仕事納め
もち米をとぐ
30
餅つき
買い出し
31
おせち料理作り
餅つきは、分家(主人の弟家族)からお手伝いにきてくださるので、
皆でワイワイと楽しく作ります。
お正月は、新年の挨拶まわり、初詣、お客様の接待と、大忙しです。
毎年、これを繰り返しながら歳を重ねていきます。



なでしこの部屋

大根漬け物語

 毎年十二月の第一日曜に、主人公の大根は軽トラに揺られ五十本の仲間とやってきます。四十本をきれいに洗い、大きな樽に塩漬けにします。残りは新聞紙にくるみビニール袋に入れて、縁の下でおでんやふろふきになる日まで保存しておきます。
 一週間後、きれいな水が樽いっぱいにたまります。これを捨てて、昆布やとうがらしを混ぜた米ぬかで漬け直します。この時少し切って味見をし、その年の気候も考えて、米ぬかに入れる塩の量を決めます。これが後の味にひびくので、私としてはドキドキものです。毎年微妙に味が違うのですが、その年その年の味として口に合っていて、おいしく頂けるのは不思議です。
 「何十年も同じ場所で漬けていると、おいしい漬物の菌が住みつくのだ」と人に聞いたことがあります。私ごときが漬けてもおいしくなるから、これは本当の話かも知れません。菌がいなくなってしまわないように、毎年漬けなければと思います。物語を続けるために。